どうも!北海道生まれ北海道育ちのムン太です。
北海道だけ、というわけではないと思うけど、北海道の田舎はホント超森の中なので、熊に注意なんですよね。
特に春先は、熊が冬眠から覚め、活動し始める季節。
山菜取りやハイキング、写真撮影など、アクティブに行動したくなる時期ですが、それは熊も一緒。
大げさに言ったら「まともに出くわしたらアウト!」な熊にうっかり出くわさないために、熊の冬眠事情について以下のような項目で詳しくお伝えしていきます。
- 冬眠する時期は?
- 冬眠する理由は?
- 冬眠に選ぶ場所は?
- 冬眠中の食事は?
また、冬眠中の熊の出産の話題や、冬眠に失敗した熊のお話しもしていきますよ!
もくじ
熊が冬眠する時期はいつから?
熊が冬眠する時期はいつ頃からでしょうか。
北海道のヒグマと本州四国のツキノワグマで冬眠の時期は違う
日本の熊は2種で、北海道の熊はヒグマ、本州や四国にいる熊はツキノワグマですね。
当然住む地域が違って冬の期間も違うので、冬眠の時期も少し変わります。
熊もカレンダーを見て冬眠時期を決めているわけではないですから、基本的には「寒くなってきたなあ、冬が来るなあ」と思ったら冬眠の準備を開始する、という感じ。
人間がストーブをいつ使い始めるかみたいな話に似てますね(^^)
個体や年によっても冬眠の時期は異なる
個体やその年によっても冬眠の時期は異なります。
これも僕らがストーブいつから使い始めるかで考えると分かりやすいですね!
妊娠してるメス熊の冬眠の時期は早いとか、オスの熊の方が冬眠に入る時期が遅いとかっていう一般論はありますが、状況によって熊の冬眠のタイミングは前後すると覚えておくと良いです。
七十二候では12月11日くらいから「熊穴にこもる」
七十二候とは、二十四節季(立春とか春分とか)をさらに3つに分けた、季節を表す方法。
七十二候では12月11日くらいから15日くらいまでの時期を「熊蟄穴(くまあなにこもる)」と呼びます。
暦上ではこの頃くらいの時期から熊は穴にこもる(冬眠する)よね、ということですね。
熊が冬眠を開始する時期はこんな感じ。
では、冬眠開けの時期はいつでしょうか。
熊の冬眠明けの時期はいつ?
冬眠を始める時期はまちまちだけど、冬眠明けの時期はいつ頃なのでしょうか?
この感じだと、冬眠明けもまちまちと言えそうですね笑
熊は、ある日ある温度に達したらパッと冬眠から目覚めるという感じではありません。
そろそろ暖かくなってきたな、気温が安定してきたなというときに、のそのそと出て来る。
巣穴の中から出る時期を窺う熊
熊は巣穴を出るタイミングも目覚めてサッと出るというより、「いつ出ていこうかなぁ」とか考えながら窺っているようです。
『熊撃ち』というハンターの方が書いたノンフィクションがあるのですが、この本の中にこんな描写があります。
ちょっと長いけど引用したい。
おそらく母熊は穴の中から天候の様子を見ていたのだろう。そして外気に仔熊を慣らすために温かい午後に穴から出たのだろう。しかし穴のまわりで遊ばせもしないで離れたのは、何らかの不安を本能的に感じたからかもしれない。毎日見回りをしているこちらの気配をすでに穴の中で察して、天候が安定してきた数日前から穴を出るのをためらっていたのかもしれない。我慢できずに晴天の今日、穴から出て少しでもそこから遠ざかろうと、不安な気配から逃れようと、小さな二頭の仔熊を連れて移動したのだろう。小学館文庫『熊撃ち』p33
親熊を撃った後の検分のような描写です。プロのハンターはこのように熊を洞察しながら動きを読んでいるのですね。
『熊撃ち』は自然の厳しさとおおらかさをそのまま写したみたいな臨場感のある文章が味わえます。めちゃくちゃ面白いです。
『熊撃ち』はすごく良い本だからぜひ読んでほしい!
では、プロのハンターには当然敵わないけど熊が冬眠する場所はどんな風に目星をつけられるでしょう。
熊が冬眠に使う場所の特徴や条件は?
熊が冬眠に使う場所の特徴や条件にはどんなものがあるでしょう。
山菜取りや写真撮影に出かけて、冬眠から覚めた熊とうっかり出くわさないようによく確認しておきましょうね!
冬眠用の巣穴は自分で掘る熊が多い?
熊の冬眠に立地条件については様々な研究があるようです。
例えば「知床半島におけるヒグマの冬眠穴の構造と立地条件の特性」という研究では
1989年から2004年の間、知床半島において46例のヒグマの冬眠穴の位置を特定し、内21例について計測を行った
らしいのですが、この研究の抄録には以下のような気になる内容がありました。
熊には樹木の根本などの空洞を利用して冬眠するタイプと、自分で掘って冬眠用の巣穴を作るタイプがあるのだけど、自分で掘るタイプの方が多かった(80%)、という内容。
僕ならもともとある穴や使えそうな空洞を使おうと思いますが、熊くらいの腕力になると自分で掘った方が早いわってなるのかもしれません。
ということは、僕ら素人がぱっと見て「あそこらへんで熊冬眠してそうだな」と予測するのは難しいということですよね。
じゃあ「今年はここにしよっと」って熊が思う場所ってもっと具体的にどんなところなんでしょうか。
熊は風向きや日当たりを考えてる
熊が冬眠する巣穴は風向きや日当たりなども考慮された、すごく快適な場所らしいです。
入り口や寝床には草や笹の葉が敷かれており、ふかふかしている。
穴に冷たい風が入ると困りますから、風が入り込まなそうな場所を選ぶ。
こういう、熊に快適そうな立地を僕らが見て察するのは難しいですが、快適な場所、安全な場所を選んでいるということは頭に入れておくと良いかもしれません。
それは同時に、邪魔されたくない、安全を求めているということでもありますので、うっかり冬眠用の巣穴を刺激しないようにしたいところ。
熊は川や沢もチェックしている
冬眠明けは当然(稀に冬眠中も)水を飲むので、近くに川や沢があることもチェックして暮らしているはず。
川辺で熊に出会うケースってよく聞きますよねそういえば。
春先、水分補給している熊と出くわさないように気を付けましょう。
冬眠前の行動が巣穴の場所を知る手がかりに?
冬眠中、熊が「ここで穴を掘ろう」と決めるには、冬眠前にどこで食料を取っていたかがけっこう決め手になるかも。
こちらの研究では、ヒグマの定着する要因が挙げられていて参考になりました!
冬眠に入る前、熊はどんな風に暮らす場所を選んでいるかを知ると、冬眠用の穴の場所を予測する参考になるかもしれないので、豆知識として覚えておくと良いでしょう。
熊がエサにする植物を参考に!
夏から秋にかけて熊がエサとして利用する植物についての記述が先ほどの資料にありました。
「エゾニュウやオオバセンキュウなどのセリ科草本や、アキタブキ、ザゼンソウなど、草本を利用する」ようです。
9 月下旬以降 10 月にかけて、ミズナラ堅果やサルナシの液果を利用する。
とも書いてあります。ちょっと分かりにくいけど、ミズナラの実(いわゆるドングリ)やサルナシの木の樹液ということですね。
もちろん熊が食べる植物はこれだけではありませんし、アリの巣や蜂の巣を壊して食べたりもします。
雑食なので食べ物から冬眠の巣穴を予測するのは難しいかもしれませんが、山のどこにどんな植物があるのか、どこで食べられた跡があるのかは把握しておくと良いでしょう。
鹿の死体も食べる
ヒグマはエゾシカなども食べるので、鹿の死体に巡り合いやすい場所や鹿の生息数が多い場所では定着して暮らす可能性があるようです。
死んだエゾシカを見つけたら近寄らないは鉄則。
ちょっと古い映像ですし生きた鹿を負うところだけど、熊が鹿を捕食している映像です。見てもらったら分かるけど、熊ってめっちゃ足速いんですよね実は。
こういう風にハンティングもするし、死んでいる鹿がいればムシャムシャ食べます。
ここまでの話を総合すると、熊の気持ちになれば冬眠用の巣穴の場所は予測できる、かもしれないということ。いや難しいですね笑
でも快適なところを巣穴にしているはずなので、少しでも熊の暮らしを知っていると参考になるかもしれません。
熊が冬眠する場所は何となく分かった。次は、熊が冬眠する理由について見て行きましょう。
熊が冬眠する理由を押さえておくと、冬眠明けの熊の危険度がよく分かります。
熊が冬眠する理由はエネルギーの節約!
熊が冬眠する理由は端的にエネルギーの節約!
冬の熊は穴にこもってエネルギーの節約
冬眠する理由は限りなく生きるのに使うエネルギーを少なく節約し、食料が取れず寒い冬を乗り切るということ。
心拍数や体温を下げ、代謝能力を下げ(つまりエコ運転にする)、基本的には動かずに生活します。
熊は冬眠じゃなくて冬ごもり?
熊がする冬眠は、正確には「冬眠」というより「冬ごもり」という方が適切なんだそうです。
熊がする冬眠は眠りが浅く、その気になれば普通に起きたり動いたりすることもできる。
例えばリスや、爬虫類の冬眠は大変深い、仮死状態みたいな眠りですからちょっとやそっとでは起きませんが、熊の冬眠はちょっと性質が違う。
実は体温もあまり下がっていないことが知られており、あくまで穴に籠ってるだけなのです。
つまり、起こそうと思えばわりと簡単に起きるということ。怖いですよ。
冬眠中の熊の驚くべき生態メカニズム!膀胱が優秀
熊の冬眠は穴に籠っているだけというなら、人間だってやれそうなものですが、熊独自の生態メカニズムによってこの熊の冬眠(冬ごもり)は成立してるんです。
これは冬眠の理由というより、熊が冬眠できる理由ですね。
例えば熊の膀胱はかなり優秀で、尿を水分やタンパク源として再利用できて、ずっと穴に籠ってて問題ないどころか筋力も骨の強度も落ちないのだとか。
だから巣穴から出てきた直後は弱ってるとかないですからね!気を付けましょうね!
熊の膀胱は小さい、だと?
膀胱と言えば、アイヌ民族の工芸品でこんなのあるの知ってますか?
鹿の膀胱で作った水筒
出典 平取町立二風谷博物館HP
出典元ページの説明文にちょこっとある「熊の膀胱は小さいのであまり使いません」という記述に「へえー」と思いました。
熊は胃がデカいらしいです。まあそうだろうなとは思ってたけど、怖いですね。
熊はこの大きな胃袋に食料を溜めこんで、基本的に冬眠中は一切飲まず食わずですが、完全に熟睡しているわけじゃない熊は、冬眠してる巣穴で面白い生活を送っています。
次はそんな話題。
冬眠中の熊は出産や食事もしている?
冬眠中の熊は基本的に飲まず食わずで生活していますが、なんと、冬眠中に出産することもあれば、たまにのそっと起きてお水を飲んだりすることもあるのだとか。
これも眠りが浅いからできることですよね。
春の冬眠明け、子持ちの熊には特に注意!
春、出産を終え、子どもたちを外の世界に出さなければならない熊は大変神経質になっていますから(臆病とも言えるが)、気に障らないよう注意しなければなりません。
対策としては「ここに人間がいる」ということを知らせること。
山では「音を立てながら歩く」はやはり鉄則です。
熊に襲われるのは熊が攻撃的だからというよりも、びっくりして脅威に感じるから。
熊に出くわさない工夫がまず大切。
さてお次は、ちょっとイレギュラーな熊。
冬眠しない熊や、冬眠に失敗した熊の話です。
冬眠しない熊も失敗する熊も起きる熊もいる
冬眠しない熊や失敗する熊もいる。これまでにもお話ししましたが、起きる熊もいます。
クマ牧場の熊は冬眠(冬ごもり)しない
冬眠の理由はエサを確保しにくい冬の期間、できるだけエネルギーを温存すること。
だからエサの心配がいらないクマ牧場などの熊は冬眠しません。
つまりクマ牧場では、普段見られない冬の間の熊の生活が見られるということですね。
ただの熊には違いないけど、実はちょっとお得なんですよ笑
怖いのは、冬眠に失敗した野性の熊
冬眠に失敗する熊もいるのだとか。
日本語では「穴持たず」と呼ばれるのですが、この冬眠に失敗した熊は通称「シャトゥーン」と呼ばれます。
冬眠に失敗したということは、冬の山で食料を得られず「飢えている」ということなので、出会ったら最悪です。
漫画になってますね。というかこの知識は漫画で得ました!
少し立ち読みできるので、シャトゥーンの怖さを是非チラ見してみてください。
実際に見るとマンガの通り、絶望感というか「あ、ダメだ」みたいな恐怖に襲われるんですよね(僕は遠目に見ただけだけど、ビビりなので)。
ほんと遭いたくないです、といったところでまとめにはいります!
熊が冬眠する時期と理由!冬眠に選ぶ場所は?冬眠中の出産や食事の事情も!まとめ
熊の冬眠のメカニズムや時期の事情、そして熊に出くわす危険度は伝わったでしょうか?
冬眠を始める時期や冬眠から明ける時期の選び方は、僕ら人間と似ていますね。
子どもを出産する母熊の気持ちも、もしかしたら僕らは理解できるものなのかもしれない。
山菜取りやハイキングの季節ですが、山に入るときは冬眠明けの熊を刺激しないよう、熊の生活圏をできるだけ侵さずに進むことを心掛けましょう。
コメントを残す