こはる
第159回芥川賞の発表まであと2週間ほどとなりました!
今回は俳優や、脚本家、映画監督などとして活躍されている松尾スズキさんの作品が芥川賞候補になったことが話題になっていますが…
今最も注目を集めているのは6月末に発覚した、芥川賞候補作である北条裕子さんのデビュー小説【美しい顔】の参考文献未掲載問題ではないでしょうか?
【美しい顔】は津波の被災地を被災者の女子高生の視点で描く作品で、2018年の群像新人文学賞を受賞した北条裕子さんのデビュー小説として発表されました。
しかし、北条裕子さんの【美しい顔】を巡り、執筆時に使用したノンフィクション作品を参考文献として明示しないまま文芸誌に掲載されていたことが発覚。
文芸誌発行元の講談社は7月6日発売の文芸誌「群像」8月号で謝罪文を掲載すると発表しました。
SNSやネット上では、北条裕子さんのデビュー小説【美しい顔】の文中の表現に盗用(パクリやコピペ)などがあるのではないか?という声が相次いでいます。
そんな中、7月3日に北条裕子さんのデビュー小説【美しい顔】を文芸誌に掲載した講談社から新たな発表がありました。
講談社の発表によると、北条裕子さんのデビュー小説【美しい顔】には盗用(パクリやコピペ)には一切あたらないというものです。
また、講談社は「著者の尊厳を守り、(同作の)評価を広く読者と社会に問うため」として、近日中に【美しい顔】を全文無料公開することも発表しました。
【美しい顔】というタイトルと同様、モデルをしていたとも言われてい北条裕子さんの美しく人目を引くルックスもあいまって大きな話題を呼んだ参考文献未掲載問題。
【美しい顔】は芥川賞候補の候補作という点も変更されないようです。
今後、北条裕子さんの【美しい顔】の参考文献未掲載問題はどのような展開になるのでしょうか?
講談社は近日中に【美しい顔】を全文無料公開することも発表しています。
【美しい顔】の全文無料公開によって作品を読んだ読者は、参考文献未掲載問題と盗用、パクリやコピペは別だと判断するのでしょうか?
もくじ
北条裕子の【美しい顔】は盗用には一切あたらないと発行元が否定!
7月3日、北条裕子さんの【美しい顔】の参考文献未掲載問題で新たな動きがありました。
北条裕子さんの【美しい顔】を文芸誌に掲載した講談社からいくつかの発表があったのです。
参考文献は【美しい顔】の小説の根幹には関わらず盗用ではない
群像新人文学賞受賞作で芥川賞の候補でもある、北条裕子さんのデビュー小説【美しい顔】が参考文献を明記せずに文芸誌「群像」に掲載された問題。
「群像」の発行元の講談社は次のようなコメントを発表しました。
「作品の根幹に関わるものではなく著作権法に関わる盗用や剽窃(ひょうせつ)などには一切あたりません」
このコメントの意味は、つまり…
北条裕子さんの【美しい顔】は確かに参考文献を掲載せずに発表してしまった。
しかし、類似していたとされている参考文献は【美しい顔】の小説の根幹には関わらない。
参考文献をそのまま盗用したりパクリやコピペをしたことにはあたらない、と考えて良い…ということなのでしょうか?
掲載雑誌の発行元の講談社からコメントの発表があり【美しい顔】の盗用、パクリやコピペが否定されたことで少しスッキリしましたね。
北条裕子の【美しい顔】はもともと高く評価されていた作品だった
北条裕子さんの【美しい顔】はもともと高く評価されていた作品でした。
北条裕子さんの【美しい顔】はすでに文学賞の審査員や批評家、文学研究者などから賞賛されていたのです。
群像新人文学賞の審査員が語った、北条裕子さん登場の衝撃
実は私が北条裕子さんの【美しい顔】という小説に注目したのは、ラジオでの作家の高橋源一郎さんの発言がきっかけです。
群像新人文学賞の審査員である作家の高橋源一郎さんはパーソナリティーを務めているラジオで、2018年の群像新人文学賞について語られていました。
”まだハッキリとお伝えすることはできないけれど、(2018年の新人文学賞)の作者の才能は何十年に一人のものだ”
”久々に文学界に大きな衝撃を与える新人作家が登場した”
ちょっとうろ覚えなのですが群像新人文学賞の審査員である作家の高橋源一郎さんはこのようなことをおっしゃっていました。
そして、その新人作家の衝撃なデビュー作は3・11(東日本大震災)なのだとも。
その後発表された群像新人文学賞で、私は高橋源一郎さんが絶賛されていた新人作家が北条裕子さんで、作品名は【美しい顔】だということを知りました。
第61回群像新人文学賞の当選作は北条裕子(ほうじょう・ゆうこ)さんの「美しい顔」に決定いたしました。5月7日発売の「群像」6月号に選評と受賞作を掲載いたします。
— 群像編集部 (@gunzo_henshubu) 2018年4月13日
北条裕子の【美しい顔】は芥川賞候補にふさわしい話題作
そして、北条裕子さんの【美しい顔】はその後芥川賞の候補作に…
私は、北条裕子さんが芥川賞を受賞するのではないかと注目していたんです。
きっと北条裕子さんは文学界に衝撃を与えるような新人作家なんだろうな〜、
【美しい顔】は芥川賞を受賞するしないに関わらず今年の話題作になるだろうな〜と予想してた最中に起きたのが”参考文献未掲載問題”
とても残念だな、と感じてしまいました。
北条裕子の【美しい顔】を批評家、文学研究者も絶賛!
批評家の佐々木敦さんや文学研究者の日比嘉高さんは、北条裕子さんの作品をこんな風に評価しています。
- これはちょっと相当に凄い小説である。
- 力作と書いたが、まさに言葉に宿る「力」が尋常ではない
- 今年前半期一番の収穫
- ポスト震災の文学を論じていく際には外せない作品
- 今後広く長く参照されることになることを文学研究者として断言する
北条裕子さんの才能や【美しい顔】という作品はもともと高く評価されていたのだということがわかりますね。
”経験したことがないこと(被災地に行かずに東日本大震災をモチーフに描いた)を圧倒的なリアリティで書きあげている”と高く評価されていた作品です。
北条裕子『美しい顔』読了。第61回群像新人文学賞受賞作品。「群像」2018年6月号収録。呼吸が苦しくなるし視界が狭まるので、時々本から目を離し、少し深呼吸しながら、落ち着いたらまた読む。ここまで直截的に震災を描いた、というよりは津波に呑まれ死んだ人々、津波で家族を亡くした被災者の
— neveu (@NeveuTristan) 2018年5月21日
北条裕子さんの【美しい顔】は参考文献の未掲載という問題はあるにしても、文学賞の価値に十分に値する作品だということですね。
北条裕子の【美しい顔】参照した書籍の類似は一部の記述に限定される
北条裕子さんの【美しい顔】は東日本大震災で被災した女子高生の視点で描いた作品です。
東京都在住の北条さんは東日本大震災の被災地に行ったことはないと説明していました。
北条裕子さんの【美しい顔】の主な参考文献
講談社によると、北条裕子さんが【美しい顔】を執筆するにあたって主な参考文献として使用したのは、次の5作品です。
- 「遺体: 震災、津波の果てに」(石井光太、新潮社)
- 「3.11 慟哭の記録―71人が体感した大津波・原発・巨大地震」(金菱清編/東北学院大学震災の記録プロジェクト、新曜社
- 「ふたたび、ここから 東日本大震災・石巻の人たちの50日間」(池上正樹、ポプラ社)
- 「文芸春秋 2011年8月臨時増刊号「つなみ 被災地のこども80人の作文集」(森健、文芸春秋)
- 「メディアが震えた テレビ・ラジオと東日本大震災」(丹羽美之、藤田真文 、東京大学出版会)
講談社は「参考文献未表示の過失についておわびいたします」と謝罪を発表しました。
参照した書籍の著者や関係者には「誠意をもって協議させていただく」としています。
【美しい顔】にある被災地の描写と参照した書籍の類似は”一部の記述に限定される”
講談社は北条裕子さんの小説【美しい顔】にある被災地の描写と参照した書籍の類似は”一部の記述に限定される”と主張しています。
北条裕子さんは東日本大震災の被災地に行かずに被災体験の小説【美しい顔】を発表したということで、参考文献と類似した表現があったのかもしれません。
しかしそれはあくまでも【美しい顔】の”一部の記述”ということなんですね。
講談社は【美しい顔】の類似表現が盗用と批判されたことに抗議している
SNSやネット上などでは北条裕子さんの【美しい顔】が盗用やパクリやコピペなのでは?という批判の言葉が飛び交い、北条裕子さんらへの批判や中傷が相次いでいます。
講談社は「多くの関係者の名誉が著しく傷つけられたことに対し、強い憤りを持つとともに、厳重に抗議いたします」としています。
参考文献不掲載の問題があっても北条裕子の【美しい顔】の価値が損なわれることはない
北条裕子さんの【美しい顔】はすでに群像新人文学賞を受賞しています。
北条裕子さんの【美しい顔】を文芸誌に掲載した講談社は次のようにも発表しています。
参考文献不掲載の問題があっても文学の核心と作品の価値が損なわれることはない
”『美しい顔』が持つ優れた文学性は、新人文学賞選考において確たる信により見いだされたもの”
”(参考文献不掲載の)問題を含んだ上でも、本作の志向する文学の核心と作品の価値が損なわれることはありません”
参考文献が未掲載の問題があっても北条裕子の【美しい顔】は文学作品として価値が高い
参考文献が未掲載だったということは確かに文学作品としてあってはならないことなのだと思います。
しかし、たとえ参考文献が未掲載という問題があったとしても北条裕子さんの【美しい顔】の作品自体は本当に素晴らしいということなんですね。
北条裕子の【美しい顔】近日中に全文無料公開へ
北条裕子さんの【美しい顔】の参考文献未掲載問題で【美しい顔】の掲載誌を発刊した講談社から次のような発表がありました。
正直この発表に私はかなり驚いています。
SNS上では講談社の【美しい顔】全文無料公開について次のようなコメントがありましたが私も同じ思いです。
北条裕子「美しい顔」にかんする問題についての講談社のプレスリリースです。
一読し、群像編集部と講談社が新しい才能を守る決断をしたことに心から感動しました。
僕は完全に同意見です。
読みもせず誹謗中傷してる連中は恥を知りなさい。https://t.co/wEy1SXbzCb— 佐々木敦 (@sasakiatsushi) 2018年7月3日
北条裕子の【美しい顔】近日中に全文無料公開する理由や狙いは?
【美しい顔】全文無料公開で文学界にも大きな衝撃が走っているのではないでしょうか?
それは「著者(北条裕子さん)の尊厳を守り、【美しい顔】の評価を広く読者と社会に問うため」として、近日中に同作を全文無料公開するというものです。
講談社は、北条裕子さんのデビュー小説【美しい顔】の全文を近日中にホームページ上で無料公開するという異例の決断を下したのです。
具体的な日時はまだはっきりと発表されていませんが一人でも多くの人に北条裕子さんの【美しい顔】を読んでその価値を見出してほしいという思いが伝わってきますね。
講談社は北条裕子さんの【美しい顔】は文学作品として非常に価値が高く決して盗用やパクリ、コピペではないということを強く訴えたいのではないでしょうか?
北条裕子の【美しい顔】は第159回芥川賞の候補に変更はない
芥川賞候補作である北条裕子さんのデビュー小説【美しい顔】の参考文献未掲載問題で、芥川賞の候補作に変更があるのかどうかも気になりますよね?
北条裕子さんのデビュー小説【美しい顔】は2018年の群像新人文学賞の受賞作であり7月18日に選考会が行われる第159回芥川賞の候補でもあります。
【美しい顔】が芥川賞候補から外されることはない
芥川賞を主催する日本文学振興会は7月3日、「現時点では候補作に変更はない」とコメントを発表しています。
北条裕子さんの【美しい顔】は第159回芥川賞の候補からは外されるということはないということですね。
北条裕子の【美しい顔】は盗用やパクリじゃない!無料公開で芥川賞の可能性も!まとめ
被災地に一度も行かずに、東日本大震災の被災体験を圧倒的なリアリティで書きあげている北条裕子さんの【美しい顔】
北条裕子さんの【美しい顔】すでに群像新人文学賞を受賞し、多くの評論で「震災を真正面から描いた」と絶賛されていました。
たとえ参考文献未掲載という問題があったとしても【美しい顔】の文学としての価値は高く評価されるべきであり損なわれることがあってはならない。
北条裕子さんの【美しい顔】を文芸誌に掲載した講談社からも発表があった通り、【美しい顔】は文学賞に輝く価値のある作品だといえそうですね。
盗用、パクリやコピペといった言葉でネット上での批判や中傷が相次いでいる中【美しい顔】が無料公開されることで多くの方が【美しい顔】の真実を知ることができれば、と思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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