小説には単行本と文庫本がありますよね。

同じタイトルで単行本と文庫本両方から出版されていると、どちらを買えばいいか分からなくなってしまったりすることもあります。

値段を見れば文庫本のほうが安いのですが、私はできるだけ単行本で買うようにしています。

というのも、単行本と文庫本はそれぞれ違った魅力があり、単行本のほうが私に合っているからです。

単行本と文庫本ってそんなに違うの?と思う方もいらっしゃるかもしれません。

実は意外と違うんです。

そんな単行本と文庫本の違いを読書好きな私が解説していきます。

単行本と文庫本の違いを知れば、読書はもっと楽しいものになりますよ。



単行本と文庫本の使用感の違い

まずは単行本と文庫本の使い勝手の違いを説明します。

ここでは

  • 手軽さの違い
  • 丈夫さの違い
  • 読みやすさの違い

の3つの点を説明します。

手軽さの違い

手軽さは断然文庫本のほうが上ですね。

文庫本はちょっと大きいポケットになら入ってしまうくらいの大きさです。

単行本は大きく、鞄に入れてもかさばりますし、手に持って読むときも両手でしっかり持たないといけません。

持ち歩くなら文庫本のほうがおすすめです。

……というわけではありません。

持ち運ぶという点で、単行本にも利点があるのです。

丈夫さの違い

単行本の中でも特にハードカバーの単行本はかなり丈夫です。

ハードカバーとは、固いカバーの表紙でおおわれた単行本です。柔らかい素材のものはソフトカバーと言います

本を鞄に入れて持ち歩く際、文庫本はページが折れたり破けたりしてしまうことがあります。

単行本は表紙がしっかりしているので綺麗に保存できます。

本を長期間綺麗にとっておきたい方は、単行本がおすすめです。

読みやすさの違い

個人差はあると思いますが、同じ内容でも文庫本より単行本のほうが読みやすい印象です。

単行本は本自体が大きいので、ページ内の余白が大きいです。

文庫本は単行本と違い文字がびっしり詰まっているので、普段から本を読まない方は読みづらいと思います。

また、単行本にはスピンがついています。

スピンというのは本の上の部分についている、しおりとして使える紐です。

文庫本ですと新潮文庫などの一部の本にしかついていません。

少しづつ読み進めるというスタイルの方は、スピンのついている単行本のほうが読みやすいでしょう。

使い勝手は単行本も文庫本も一長一短なので、自分に合ったほうを選んでみてください。

次は表紙の違いを見てみましょう。

単行本 文庫本 違い

単行本と文庫本の表紙の違い

先程単行本のほうが表紙が丈夫、と述べましたが、それ以外にも表紙には違いがあります。

  • オモテ表紙の違い
  • 裏表紙の違い

と分けて説明します。

オモテ表紙の違い

表紙のデザインは文庫本と比べ、単行本のほうが凝ったものであることが多いです。

また、カバーの素材も単行本のほうがいいものを使っているので、汚れにくいです。

表紙のデザインがいいと中身も読んでみたくなる、という方もいらっしゃると思います。

そういった方は文庫本よりも単行本を選んだほうがよりその本を好きになるかもしれません。

裏表紙の違い

単行本と文庫本の裏表紙の一番の違い、それはずばりあらすじの有無です。

文庫本の裏表紙にはあらすじが載っていますよね。

単行本にはあらすじがありません。

あらすじがあったほうがいいか、ないほうがいいかというのは好みが分かれると思います。

文庫本のようにあらすじがあると内容も理解しやすく、話の筋がすんなりと頭に入って来るでしょう。

しかし、私はあらすじが載っていない単行本のほうがいいのです。

あらすじを読むとその先入観を持って読み始めることになってしうので、文庫本の初めて読んだ時のインパクトは、単行本に比べて弱いイメージがあります。

だったら文庫本の裏表紙のあらすじを読まなければいいんですけど、文字が書いてあるとつい読んじゃうんですよね(笑)

そんな理由で同じタイトルで単行本と文庫本があると、私は大抵単行本を選んでしまいます。

でも、そもそもなんで同じタイトルで単行本と文庫本、二種類も出版するのでしょうか。



単行本と文庫本の出版時期の違い

単行本と文庫本は鮮度が違います。

こう表現するとなんだか食品みたいですが、単行本のほうが新鮮なのです。

基本的に書籍はまず単行本など大きなサイズの本で発売されます。

その発売された単行本の中で、売れ行きがいいものだけが文庫化されます。

つまり、単行本は作品が発表されてすぐ読めるんです。

売れ具合にもよりますが、大体の文庫本は単行本が出版されてから1~3年は待たないと出版されません。

話題の本をすぐに読みたいという時などは、単行本のお世話になるでしょう。

逆に文庫化したということはある程度売れた作品ですので、とりあえず何か読みたいと思った時は文庫本から探したほうが面白い作品に当たりやすいです。

本を探すとき、単行本は新しい本で、文庫本は人気の本と知っていると便利です。

ではあとから出版される文庫本は、単行本と内容に違いはあるのでしょうか。

単行本 文庫本 違い

単行本と文庫本の内容の違い

文庫本は単行本よりも後から出版されるため、誤字や脱字が修正されています

単行本も校正はしていますが、どうしても漏れはありますからね。

文庫本のほうがより洗練されているといえるかもしれません。

また、文庫本の巻末には作者のあとがきや解説が載っています

基本的に単行本にはそういったものは載っていません。

読後の余韻に浸りながらあとがきなどを読むのも文庫本ならではの楽しみです。

あとがきどころか内容も書き加えられていることもあります。

短編集の文庫化などでは、単行本では載っていなかった書き下ろしの一編が加えられていることは珍しくありません。

長編小説でも文庫化の際に、最後に1ページほど加筆されていたりすることもあります。

文庫本は単行本に特典を追加して価値を高めているんですね。

文庫本のほうが内容がちょっと多いので、単行本よりもお得です。

私は個人的には修正前の単行本も好きなので、同じタイトルの単行本と文庫本両方買ってしまったこともあります。

文庫化の際の修正は基本的には誤字や脱字だけなのですが、大幅な修正をしている方もいます。



単行本の内容を丸々修正!?

作家の京極夏彦さんの小説はある特徴があるんです。

京極さんの作品は、ページの終わりにきちんと文章が終わるようになっています

一文がページをまたがず、ページの終わりに句点が来るように考えて書いているらしいです。

何となく読んでいるとなかなか気づかないような細かいこだわりですが、これだけで読みやすさがかなり変わってくると思います。

実際、京極さんの作品は長い文章も多いですが読みづらいという印象は受けません。

そんなこだわりを持って出版した単行本ですが、文庫化するとページの区切りが変わってしまいます。

そこで京極さんは文庫本でもページの区切りで一文が終わるように、内容の調整や修正をしているのです

全ページ見直して修正する手間を考えると、こだわりというよりもはや執念を感じます。

このように単行本と文庫本で大幅な修正を行う作家さんもいらっしゃるので、単行本と文庫本両方を読み比べてみるのも面白いかもしれません。

単行本 文庫本 違い

単行本と文庫本の違いを解説!実は大きさだけじゃなく内容も違う?のまとめ

今回の記事はお役に立っていただけましたでしょうか。

多くの人は高くて大きい単行本、安くて小さい文庫本というイメージだと思います。

ですが、ちょっと注意してみると、単行本と文庫本の違いは結構多いんですよ。

綺麗に保存出来て、刊行当時の内容の単行本にも、手軽に持ち運びにできて、内容も加筆されている文庫本にも、それぞれの魅力があります。

単行本と文庫本の違いを知り、自分の好みなどに合ったほうを読むようにすれば、きっと今までよりも読書がはかどります。

本を買う機会があれば、ぜひ注意してみてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。