こんにちは、海洋生物が専門のしずくです。

船に乗って海洋調査してたので、「プランクトン調査」でクラゲなどをネットでとったり、クラゲの飼育してたこともあります。

すっごく楽しい作業なんですよ!(*^^*)笑

船から見てもクラゲってなんか、ごみみたいにふよふよ浮いてて気楽な生物だな~ってイメージなんですが・・・
実は1年間という短い一生の中、とってもアグレッシブに自分の形態を変えたり海の底に行ったり、分裂したりしていた!?

こう見ると大忙しなクラゲ。一番私たちに身近なミズクラゲを例に、繁殖方法や成長過程をじっくり見ていきましょう(`・∇・)o





ミズクラゲの繁殖方法は2種類ある!

ミズクラゲの繁殖方法、「有性生殖」と「無性生殖」!!

2つも行えるなんて便利なんです!2つの繁殖方法と、メリット・デメリットとは!?

有性生殖(オスとメスとで繁殖)

ミズクラゲにはオスとメスがいますので、繁殖の際にはそれぞれが「卵」と「精子」を作ります。

卵と精子は海中に放り出すんじゃなくて、オスが出した精子をメスが体に取り込むんですよ!なんだかすごく丁寧な子育てになる予感がします!!

クラゲは原始的な体の構造をしていて、無いものだらけですが、オスメスはちゃんと分かれているってちょっとびっくり。

(クラゲの体の構造はこちらの記事からどうぞ♪ →クラゲの生態・体の構造の不思議!脳や心臓がないのに生きている仕組みとは?

この繁殖方法を「有性生殖」と呼びます!

オスとメスからそれぞれ遺伝子をもらえるので、多様なミズクラゲが生まれるのが利点ですよね^^

ちなみにミズクラゲの繁殖期は冬~初夏でけっこう長く、生殖腺(傘にある四つ葉のような丸いもよう)の色がオスは紫っぽく、メスは茶色っぽくなります。

無性生殖(自分だけで分裂)

クラゲの中には、有性生殖のほかに「無性生殖」という繁殖方法をもつ種類もいます。

ミズクラゲは無性生殖もできる繁殖力の高いクラゲですね~。

次の章でお話しするクラゲの成長過程に、「ポリプ」という形態になる期間があります。

無性底生期(ポリプ型)と呼ばれていて、底生生活している間はクラゲには性別がありません。ポリプの形になると、どんどん無性生殖で増殖を始めます!!

オスメス関係なく、自分で分裂をするんですよ。繁殖方法として便利そうです(゜゜)

たしかにオスメスがわざわざ出会って繁殖する必要がないので、無性生殖はとても便利でスピーディです。
でもデメリットは、同じ性質のクラゲしか生まれないということ・・・。

みんな同じ病気に弱いとか、みんな寒いのが苦手とか、そうなるともしそんな環境に変かしたら誰も生き残れませんよね!?もろ刃の剣です><

それでは次は、繁殖してからのクラゲの成長過程を見ていきましょう♪





クラゲの成長過程を生活環で見よう

クラゲ 繁殖 成長過程

生活環というのは、繁殖して子どもが成長して大人になり、また繁殖して子どもが・・・という一連のサイクル(成長過程)を環状にしたものです!
このイラストもきれいに輪っかですよね^^

動画でも見てみたい方はこちら!なんと本物のミズクラゲを映像にしてくれてて、とっっても分かりやすいですー!!

こんな分かりやすい動画を見ることができ、わたしも改めて復習できて幸せです(*´`*)
感謝いたします・・・!

それでは、ミズクラゲの成長過程を一つ一つ見ていきましょう~!とってもかわいいので気合入れますっ(笑)

守られて育つ【受精卵】

ミズクラゲの受精卵は、メスの体にある「育児のう」という袋に入れられて守られています!やっぱり丁寧な子育てでしたね~。

他の動物でも、育児のうをもってる種類はたまにいますね!でも珍しいです(゜゜)
(カンガルーや、タツノオトシゴなど)

子守り上手のミズクラゲ。魚などは卵を海中に放ったまま(海中で守ってる種類もいますが)ですが、ミズクラゲの場合は少し成長してから世に送り出すんです!

そうした繁殖方法が子孫が残しやすいと、ミズクラゲは踏んだんでしょうね。
すべての受精卵をずっと体の中に持っておかなければならない、というマイナス面もありますけどね。

一大仕事の「繁殖」におけるコスト(損失)とベネフィット(利益)。どうバランスを取るかは、生物によりじつにさまざまなんです。

【プラヌラ幼生】生まれたての赤ちゃん

クラゲ1

プラヌラ幼生は、受精卵から生まれたクラゲの赤ちゃんです!
0.2mmほどの超小型サイズです☆

この子はすでに泳げる(と言っても、とてもか弱い泳ぎですが)ので、メスのミズクラゲも安心して・・・ではないと思いますが、ハラハラしつつ海中へ送り出します。

ミズクラゲのメスは数千~数万もの卵を産むと思いますが、そのうち生き残るのはどれくらいか分かりますか??

オスとメスの2匹のクラゲから生まれた子どもクラゲが生き残る数は、2匹だけなんです!
なんの生物でもそうです。そうしないと生態系のバランスが崩れてしまいますから、自然なことですね( ´ω`)゙

ちなみに「子持ちクラゲ」は、見た目で分かります。ミズクラゲの傘の四ツ葉もよう(生殖腺)に受精卵やプラヌラ幼生がくっついているのが見て分かりますよ^^

プラヌラ幼生は、食べられたりしなければ数日間海中をさまよい続けます~。

【ポリプ】ひとときの底生生活へ

クラゲ2

さぁここで、ミズクラゲにとっての「新たな体験」の時間がやってまいりました!!
海底の地面の上で生きる「底生生活」をを送る成長過程になります。

とはいっても、実はミズクラゲの寿命は1年程度なので・・・ふわふわ海中にいるのと底生生活してる期間と、そんなにかわらないかも?

ミズクラゲさん、硬い岩の上と、海中を漂う生活・・・どっちがお好きですか??

丸っこいプラヌラ幼生は、定着できる岩などにたどりつくと、触手を出してくっつきます。
このポリプ、とんでもなくすごいんですよ!

  • ミニマムな白いイソギンチャクっぽい、かわいい見た目。この成長過程で触手を使ってエサを取ることもできるようになりました!
  • 無性底生期(ポリプ型)と呼ばれていて、このポリプの形になると、どんどん無性生殖で分裂を始めます!!オスメスが関係なく、自分で分裂て繁殖できる便利なちから!
  • 再生能力がすごい!大人のクラゲも再生能力には優れますが、この成長過程のポリプというのは、バラバラにしても再生できちゃいます><

【ストロビラ】ここでまた分裂します

クラゲ3

ポリプがどんどん縦に長くなるという成長過程を踏んで、やがていくつも裂け目が出来てきます。
おわんを20個くらい重ねた感じの見た目?

そう、またここで10~20くらいに分裂するんですよ!よくやりますね。

上の方からはがれていって独立すると、次のエフィラという成長過程になります!

【エフィラ】可愛いお花型!

クラゲ4

このエフィラはわたしのお気に入りの成長過程です(笑)
なぜって、お花型でかわいいから(^∇^)*゜

底生生活に入ったポリプから数えると、3ヵ月ほどたっています。
つまりクラゲにとって3ヵ月ほどの岩の上での生活で、これ以降は一人でふわふわ漂う生活になります。ひとり立ちできて嬉しいやら寂しいやら??

この成長過程にもなるとサイズは2~3mmくらい。容易に目で見えますが、それでもまだまだちっちゃカワイイですね~!

たくさんエフィラが集まると花が舞っているようで、かわいい!綺麗!!ちっちゃいのに頑張ってる感じが良い。

まじめにずーーっと見ていられるけど、クラゲの成長過程の一時に過ぎないのが残念・・・。

・・・と、悲観することはありません!このエフィラが一週間ほどしてミズクラゲそのものの見た目になると、1cmほどの超~かわいい子どもミズクラゲに!!!

かわいすぎてつらい_:(´‐`」∠):_

このエフィラからミズクラゲのオスメスの区別が始まるんですよね。それまでは無性生物なので。
クラゲのオスメスの違いって!?見分けられたらおもしろい!





クラゲのオスメスの見分け方は意外と簡単!?

簡単・・・なのですが、ええと、繁殖期なら意外と簡単です!(ぇ

この記事の最初の方で「生殖腺(傘にある四つ葉のような丸いもよう)の色がオスは紫っぽく、メスは茶色っぽくなると書いたのですが、繁殖期の期間はけっこう見た目で分かると思いますよ^^

自然界で12~6月くらいの長い間が繁殖期ですしね。

繁殖期以外のミズクラゲのオスメスの見分け方は、あることにはありますが難しいです。
メスの方が、傘の裏側の真ん中に、ちょっと構造物があります・・・が、泳いでるの見てもよく分かんないです。(苦笑)

ちなみに「クラゲ」と呼ばれる仲間には2種類あって、ミズクラゲなどの「刺胞動物」はオスメス分かれていますが、キラキラ光るクシクラゲ「有櫛動物」はオスメスの区別がありません。

「ミズクラゲの繁殖方法と成長過程はアグレッシブ!?癒しとは反対に大忙し」まとめ

  • ミズクラゲの繁殖方法は、オスメスで協力して繁殖する「有性生殖」と、自分だけで分裂する「無性生殖」に分かれている!
    どちらもメリットデメリットがあるので、ミズクラゲは繁殖上手です。
  • ミズクラゲは、成長過程によって全然違う姿になる!
    岩の上にくっついてで生活したり浮遊生活したりと、ミズクラゲの癒し系な姿からは想像できないくらい、忙しい一生です。
  • ミズクラゲのオスとメスの見分け方は、繁殖時期だったら簡単!
    特別な目立つ見分けポイントで見分けられるわけではありませんが、注意してみればきっと分かりますよ☆

以上、不思議でかわいい、ふわふわしてるけど懸命に生きているミズクラゲのお話でした!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!

しずくでした。