インドってどんな国か、イメージできますか?
数学科に通っていた私としては、数学が発展している国というイメージが強いです。
それ以外だとカレーとインド象、町中に牛がいる映像を見たことがある、それからガンディーという人がインド人だったような気がするなあ……くらいにしかイメージが出来ません。
これではインドを表せているとは言えませんね。
国のことを知ろうと思ったら、まずは国旗を調べるのが一番です。
国旗はその国家を象徴するデザインとなっているのですから、国旗の意味を調べればその国の象徴的な部分は分かります。
ということでインドの国旗の意味や由来から、インドの文化や民族性を見ていきましょう。
目次
インドの国旗の意味
インドの国旗は
- 3色の色遣い
- 中央のシンボル
の二つが特徴です。
それぞれ分けてみていきましょう。
3色の色遣いの意味
インドの国旗の3色は上の黄色っぽいのはサフラン色と呼ばれる色、真ん中が白、下は緑です。
インド=カレーのイメージが強い私はカレーとグリーンカレーとホワイトカレーかな?なんて想像しかできません(笑)
失礼極まりないですね。
結論から言ってしまうとインドの国旗のこの色遣いは宗教的な要素を多分に含んでおります。
まず上のサフラン色はヒンドゥー教、下の緑色はイスラム教を表しています。
壁を一枚挟んで宗教二つが向かい合う、というとなんだか不穏な雰囲気ですよね。
でもご安心ください、真ん中の白はその2つの宗教の和解を意味しています。
二つをただ分断しているわけではなく、宗教の和解を意味する3色なんです。
断じてカレーは関係ありません。
中央のシンボル
インドの国旗の中央のシンボルは法輪を意味しています。
ちなみに法輪とは簡単に言えば仏教の教えを模したものです。
法輪の中の24本の線は1日の24時間を表しています。
背景の3色で宗教の和解を表現し、中央のシンボルでも宗教関係を表しているのか、と思いますが実は元々は法輪ではなかったのです。
元々インドの国旗の中央のシンボルは糸車でした。
なぜ元々は糸車だったのでしょうか。
そんな疑問を解決するべく、次にインドの国旗の由来を説明しましょう。
インドの国旗の由来
インドの国旗の色遣いにはヒンドゥー教、イスラム教の意味が込められています。
実際インドの人口のうち、ヒンドゥー教徒とイスラム教徒だけで9割を超えています。
宗教に関心の薄い日本人としては驚きですが、多分世界的に見れば日本のほうが異常なんですよね。
しかしヒンドゥー教とイスラム教は元々対立しており、1947年にはヒンドゥー教徒を主とするインドとイスラム教徒を主とするパキスタンに分離する、という大事に発展しています。
まあ主張が違えば対立する、というのは宗教に限った話でもないので理解はできますね。
そんな宗教の対立があるインドですが、インドの人の多くは対立はあってもインドは一つという信念をもっています。
そんなインドという国の精神を表現した3色なんですね。
シンボルのほうに目を向けましょう。
インド国旗の中央のシンボルは元々は法輪ではなく糸車でした。
インドはかつてイギリスに支配されていて、インドの伝統工芸の糸車は淘汰されていました。
インドがイギリスから独立するため、イギリス製品に対するボイコット(通称糸車運動)をして、結果としてイギリスからの独立に繋がった、という歴史があります。
インドの独立の象徴として糸車はふさわしいですね。
ですが、特定の運動などを表すシンボルは国旗にふさわしくないということで、糸車から法輪に変えられたようです。
まあ法輪のほうが威厳は感じられますよね。
この糸車運動を提唱したのはガンジーであり、インドという国とガンジーは深く結びついています。
このように国旗からインドの独立や宗教間などの対立が読み取れますが、その歴史をもう少し詳しく見ていきましょう。
インドの歴史はガンジー抜きでは語れません
インドの国旗から読み取れる歴史は、イギリスからの独立と宗教の対立が主な部分で、その二つに密接にかかわっているのがマハトマ・ガンジーです。
インドがイギリスに支配されていた時、ガンジーは独立のための運動の先陣を切っていました。
先程述べた糸車運動もその一つです。
このガンジーといえば非暴力というのは有名ですよね。
今の日本の事なかれ主義もある意味では非暴力なのかもしれませんが、当時のインドは状況がまるで違います。
何もしてないのに逮捕されたり、暴力を受けたりといったことが日常的に起きていて、それでも我慢するという精神です。
ここで大事なのは、非暴力というのはビビッて泣き寝入りするというわけではなく、何かされても暴力には頼らずに抵抗の運動をするということです。
理想論のようにしか聞こえませんが、それを実践していたのがこのガンジー。
“すごい”という言葉以外でガンジーを表現できない私の語彙を恨むくらいにすごいです。
その根強い独立運動のかいあって、1947年にインドはイギリスから独立しました。
国民みんなで耐えて独立をもぎ取ったというのはインドの長年の願いがかなった瞬間ですね。
そりゃあ独立の象徴である糸車を国旗のシンボルにしたくなるってもんですよ。
しかし、それでめでたしめでたしでは終わらないのです。
ガンジーが目指したのはただの独立国家ではなく、ヒンドゥー教とイスラム教の統一国家です。
1948年に、ヒンドゥー教とイスラム教の対立からインドはパキスタンと分離してしまいます。
ガンジーは国としての力も分離し、宗教間の対立が起きる!と予想し、事実ヒンドゥー教とイスラム教は対立しました。
両者を説得するべくガンジーは活動するのですが、ガンジーのやり方は甘いとヒンドゥー教徒によって暗殺されてしまいます。
ガンジーもヒンドゥー教徒だったのですが、イスラム教徒でなくヒンドゥー教徒の手で殺されてしまったのです。
こういった宗教間の対立による悲劇の歴史もあり、国旗には宗教の和解の意味を込め、インド人は対立していてもインドは一つという精神を持っているのですね。
そんなインドの歴史は、現在のインドの文化にどんな影響を与えているのでしょうか。
インドの文化は宗教が根付いた生活
インドの文化は画一化されたものではなく、多様性が特徴であると言えます。
というのもインドは他民族国家であり、宗教も生活も多種多様です。
言語一つとっても、インドで使われている言語は800種類を超えるといわれています。
日本でも方言などはありますが、それを考えても800は多いですよね。
それだけ言語が多いので、インド人同士でも言語による意思の疎通ができないこともあるほど。
国内のコミュニケーションが他の国よりも難しいことから、第二言語として英語を重要視しているようです。
第二言語までしっかり学ばないとコミュニケーションが取れないので、インドの英語力は高いです。
インドに行ったら「ナマステ」という挨拶をするものだと思っていましたが、案外「ハロー」のほうが通じるのかもしれませんね。
また、インドは宗教が根付いているのも特徴です。
例えば牛が道路で寝ていても追い払ったりせずに車が牛をよけていきます。
そもそも道で牛が寝ているという牧歌的な光景が珍しいですよね。
野良牛なんて言葉がもうインパクト大きいです。
日本同様犬や猫も町中にいますが、それ以外にもインドはヤギやリス、猿などの動物が身近にいる生活です。
インドで一番教徒が多いヒンドゥー教では動物の姿をした神様や、神様の乗り物として出てくる動物が多いので動物を邪険に扱ったりしないのでしょう。
ヒンドゥー教以外の宗教も多く、寺院なども多いです。
衣服なども宗教によって変わって来るので、地域ごとにまるで違う服装です。
私はインド人というとターバンを巻いているイメージしかなかったのですが、ターバンはシク教徒の男性だけの衣服で、インドの人口の2%以下なんだとか。
多様すぎてインド国内を巡っているだけでも複数の国を旅行した気分になりそうです。
そんな文化を持つインドの民族性はどういった特徴があるのでしょう。
インドの民族性はある日本人に近い?
インドの民族性と言っても、インドは多民族国家で地域によって様々な人が暮らしているので一様には言えません。
と、予防線を先に張らせていただきましたが、その中であえてインドの民族性を話していきます。
インドは長い支配から自力で独立した経緯があるためか愛国心が強いです。
例えば日本人は47都道府県の名前と場所間違えずに全部言える人は少ないのではないでしょうか?
少なくとも私は無理です。
そんな日本とは比べ物にならないくらいにインドの愛国心は強いです。
また、押しが強くておしゃべり好きという特徴もあります。
とにかくその場の勢いで押してくるので、商品を勧められた観光客はついつい買ってしまうことがしばしばあるのだとか。
また、とにかく話好きでどんなネタを振っても乗ってくれる、ノリのいい民族性です。
これらの特徴を知り、私はあるものを連想しました。
大阪人です。
あくまで個人的な主観なのですが、大阪人は郷土愛が強く、ワイワイとマシンガントークを連発しているイメージです。
私の中の大阪人像とインド人の民族性は重なる部分が多いんです。
もしかすると大阪人がインドに行くと違和感なく馴染むのでは?なんて思えるのがインドの民族性です。
インドの国旗の意味や由来とは?宗教的な意味が込められた独特の国旗のまとめ
今回の記事はお役に立っていただけましたでしょうか。
インドの国旗からインドの歴史や宗教などを見てきました。
他宗教というべきか無宗教というべきか分からない日本とはまるで違いますね。
宗教が生活に密接に関わっていて、対立するくらいに信仰が深い。
また、国旗のシンボルにしようとするくらいにイギリスからの独立という歴史はインド人の中で重要なことです。
そこからくる愛国心も、現在の日本人は多少見習うべきなのかもしれません。
そのインド独立の立役者であるガンジーの著書はすごくためになるので、そちらも調べてみるとためになるかもしれません。
最後まで読んでいただきありがとうございました。