高校野球って年に二回ありますよね。

毎年に全国大会がテレビで中継されています。

ちょうど春休みや夏休みの時期なので、することがなくて何となく野球を観ることもあるでしょう。

でも高校野球って夏の風物詩の印象で、春の高校野球はちょっと影が薄いですよね。

テレビで観て初めて「ああ、そういえば春も高校野球あるんだっけ」みたいな。

それどころか「夏にもやるんだから春は高校野球の大会やらなくていいじゃん」なんて声もあるかもしれません。

しかし、私に言わせればそれはとんでもない。

春と夏の高校野球は意外にも異なる部分は多く、それぞれ違った魅力があるのです。

そこで今回、小学校の頃から野球に親しんでいる私が、春の高校野球と夏の高校野球の違いを解説いたします。

それぞれの魅力を知れば、あなたがテレビで観るときももっと面白くなりますよ。





春と夏では出場校の選び方も数も違う

まず春と夏の高校野球の違いとして一番大きいのは出場校でしょう。

高校野球の出場校の違いを春、夏それぞれ見ていきましょう。

春の高校野球の出場校

春の高校野球の出場校は分かりにくいともっぱらの噂です。

というのも、春の高校野球の出場校は予選を勝ち抜くのではなく、選考委員会の選考によって決まるのです。

その出場校の数は基本的に32校

第90回、第95回など、開催数が5の倍数の時は記念大会として出場校が少し増えますが、とりあえず基本の32校のことを説明しましょう。

47校以下ということは、当然ですが春の高校野球には出場しない都道府県もあるわけですね。

32校の内訳は

  • 一般選考枠28校
  • 21世紀枠3校
  • 明治神宮大会枠1校

です。

どのような選び方なのか、個別に説明いたします。

一般選考枠(28校)

一般選考枠ではどの地域から何校出場するか、というのは第75回大会(2003年)まで明かされていませんでしたが、第76回大会(2004年)で各地域の枠が明かされました。

  • 北海道 1校
  • 東北 2校
  • 関東 6校(東京から1校、東京以外から4校を必ず選ぶ)
  • 東海 2校
  • 北信越 2校
  • 近畿 6校
  • 中国・四国 5校(中国から2校、四国から2校を必ず選ぶ)
  • 九州 4校

という内訳です。

これらの地域からどのような基準で選ばれるのか、というと

  • 各都道府県の高野連(高等学校野球連盟)の推薦校
  • 秋季の地区大会の成績を考慮
  • 地域的なバランス

の3つが基本的な基準です。

春の高校野球の出場校が発表されるまで、秋季大会などから自分で予想してみるのも面白いです。

21世紀枠(3校)

2001年から設けられたこの枠、かなりユニークです。

その選考基準は

地域や学校の特性などを克服した学校や、ボランティアなどの野球以外の活動で地域に貢献して他行の模範となる学校

です。

この地域や学校の特性というのは部員が足りない学校、雪が多く練習が困難な地域などです。

また、一応秋季大会でベスト16以上の成績を収めた学校から選ぶようですが、例外も多々あります。

野球の大会に出るための条件が野球以外の活動というのは、個人的には面白くて好きなのですが、「実力で選ばれるべきだ」という意見も少なからずあります。

また、”他行の模範となる”ということで選ばれた学校が不祥事で出場取り消しといった事例もあり、春の高校野球の21世紀枠は賛否両論の出場枠です。

明治神宮大会枠(1校)

分かりやすそうに見えて意外と勘違いが多いこの枠。

毎年11月ごろに行われる明治神宮大会で優勝した学校が属する地域に、春の高校野球の出場枠が与えられます

ここで注意するのは、優勝した学校が”属する地域”に与えられるのであり、優勝校=出場校ではありません。

優勝した学校の地域の一般選考枠が1つ増えるということです。

夏の高校野球の出場校

夏の高校野球の出場校は単純明快。

予選を勝ち抜くだけ。

夏の高校野球は各都道府県から1校ずつ+東京と北海道はそれぞれ2校ずつなので計49校が出場します。

各都道府県から選ばれるうえ、予選で勝ち抜いてきたということもあり、夏の出場校のほうが地元を代表する学校という印象が強いですね。

そういった熱い想いも夏の高校野球が盛り上がる一因じゃないでしょうか。

とりあえず自分の地元の学校を応援、みたいに観戦できますからね。

さて春、夏それぞれの出場校に違いがありますが、大会の進行にも違いがあります。

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夏の高校野球はトーナメント表がない?

高校野球の大会は春も夏もどちらも勝ち残り式、いわゆるトーナメント方式です。

春の高校野球は抽選は1回だけ

大会前の抽選ですべての日程が決まる一発勝負です。

それに対し、夏の高校野球では毎試合抽選が行われます

夏の高校野球は試合後に勝ったチームのキャプテンが抽選を引き次の相手が決まります。

何かの野球漫画で、抽選の後「○○高校と当たるのは決勝戦か……」みたいな台詞を見た気がするのですが、現実では毎回抽選するので直前まで相手は分からないんですね。

つまり、夏の高校野球にはトーナメント表がありません。

トーナメント表があると大会って感じがするので、ないのは少し寂しいですよね。

また、夏の高校野球は抽選以外にも、トーナメント方式自体が特殊な部分があります。

一回戦を戦わなくていい高校がある点。

「出場校は49校なんだから1校余るのは当たり前だろ」と思うかもしれませんが、一回戦を戦わない高校は1校ではなく15校あります。

夏の高校野球のトーナメント方式は、まず一回戦を戦う組34校と、二回戦から戦う組15校に分けます。

一回戦を戦う組は普通に試合をして一回戦勝者組17校に絞られます。

その後、二回戦から戦う組同士、一回戦勝者組同士で当たるように二回戦が始まります。

もっとも数が合わないので、一試合だけ二回戦から戦う組と一回戦勝者組での試合がありますが。

その後は普通のトーナメントとなります。

なぜこんな分かりにくいトーナメントになっているかといえば、試合日数や試合間隔を考慮してのことです。

体力有り余る高校球児たちといえど、体力や健康を考えれば出来るだけ連戦などは避けるべきですよね。

しかし日程を長くして間隔を取るようにすればいいかというとそうでもなく、甲子園は高校野球だけでなくプロ野球でも使うため、あまり日程が長いと阪神タイガースに迷惑が掛かります。

長すぎず、短すぎずといった最適な日程ということで考え出されたのがこのトーナメント方式なのです。

このように色々と違いがある春、夏それぞれの高校野球ですが、同じ高校野球でどうしてこうも違うのでしょうか。





春と夏の正式名称の違い

春と夏、どちらも高校野球ですが、正式名称が違います。

春の高校野球の正式名称は「選抜高等学校野球大会」です。

俗称としては「センバツ」「春の甲子園」「春の高校野球」あたりがポピュラーでしょうか。

夏の高校野球の正式名称は「全国高等学校野球選手権大会」で、「甲子園」というと大体こちらの大会を想像しますよね。

正式名称の違いから分かるように、春は選抜大会で夏は選手権大会です。

正式名称も違い、その名の通り出場校の選び方も違うとなると、もうこの二つの大会はまるで別物ですよね。

春と夏どちらが優れているということはなく、どちらも日本高等学校野球連盟が主催する日本最高峰の高校野球の大会です。

ですが、高校野球の主催は日本高等学校野球連盟だけではなく、新聞社も主催しています。

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主催はどちらも新聞社

春、夏ともに日本高等学校野球連盟と新聞社の主催で行われていますが、同じ新聞社というわけではありません。

春の高校野球は毎日新聞が、夏の高校野球は朝日新聞がそれぞれ主催しています。

夏の高校野球が始まったのは1915年

最初に開催されたのは100年以上前ですが、戦時中は中止だったりするので2016年現在の開催数はまだ98回です。

朝日新聞社が主催して始めたこの夏の高校野球が人気が出たのです。

主催した大会が人気が出れば販売促進の効果も大きく、毎日新聞社もこれに倣って新たな高校野球の大会を主催します。

それが1924年に毎日新聞社によって開催された春の高校野球です。

しかし後発である春の高校野球の出場校などが夏と同じでは芸がありませんよね。

それこそ「夏だけでいいじゃん」となりかねません。

そこで夏とは違う出場校の選び方をした高校野球の大会ということで、選抜大会が生まれたのです。

そうして生まれた春の高校野球ですが、野球にあまり興味がない方には「夏のほうが熱い試合が多い」「春はあまり興味がわかない」という方が多いように思えます。

気持ちは分からなくはないですが、春の高校野球には春の高校野球の魅力があるのです。





春ならではの魅力

まず春と夏の高校野球の違いで大きいのは出場校です。

どの都道府県からも1校ずつ出場する夏の高校野球と違い、春の高校野球は厳選された高校だけが出場できます。

その厳選も、各都道府県大会で勝ち抜いて、その上関東大会などの地方大会でもいい成績を収めなくてはならないので、夏の高校野球よりも出場するのは厳しいです。

さらに、春の高校野球は一つの都道府県から2校まで出場できます。

神奈川や大阪などの強豪が多い激戦区と、高校の数自体が少ない地区とでは地域ごとのレベルが違ってきますよね。

夏の高校野球の出場校はどこの都道府県からも1校ずつなので、こうした地域による格差が大きいのです。

それに対し春の高校野球では全国クラスだけど都道府県内では2位、という高校も出場できるのです。

つまり春の高校野球は質の高い試合になりやすいと言えます。

どうせ観るならレベルの高い試合のほうが全国大会って感じがしていいですよね。

また、春の高校野球は試合の展開が読みにくいです。

夏の高校野球では大会が始まる前にすでに注目校、注目選手などがいて、全体の流れが読みやすかったりするものです。

春の高校野球では三年生が抜けた新チームなので戦力が読みづらく、試合の流れがどこでどう変わるか分かりません。

さらに、春の高校野球の直前の大会は秋季大会です。

春の高校野球まで期間があるということで、春の高校野球の選手たちはコンディションを整えやすいですが、夏の高校野球は予選での疲労やケガでベストでない状態で出場、なんてこともあります。

春の高校野球の場合は調整できる期間が長いため、ベストコンディションである選手が多いです。

気温も炎天下ではなく適度な気温の中で行われるため、高校球児たちにとっては実力を発揮しやすいでしょう。

夏の甲子園は地元の代表という点や、炎天下の中の試合という状況からドラマが生まれやすいです。

ですが、ドラマではなく純粋に野球が見たい、というのであれば春の高校野球のほうが満足できるのではないでしょうか。

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高校野球の春と夏の違いは?出場校がわかりにくいのが人気の差?のまとめ

今回の記事はお役に立っていただけましたでしょうか。

春も夏もどちらも高校野球の全国大会には違いないのですが、出場校などが大きく異なります。

「夏の高校野球は地元の高校が必ず出るし、応援しやすい」という意見はもちろん理解できるのですが、春の高校野球は質が高く見応えのある試合が多いという魅力があります。

むしろ野球ファンの私としては夏よりも春の高校野球のほうが楽しみなくらいです。

春には春の、夏には夏の魅力があります。

何となく春の高校野球は盛り上がりに欠けるなあなんて思わず、一度じっくりと春の高校野球の試合を観てみてはいかがでしょうか。

春の高校野球の魅力が分かれば、暇な春休みも充実したものになりますよ。

最後まで読んでいただきありがとうございました。